2006年04月23日

第28回ISSR/SISR(国際宗教社会学会)ザグレブ大会の報告

Religion and Politics in the challenging boundaries of the Eastern and Central Europe: From the 28th Conference of the ISSR held in Croatia, July 2005. 
Tsuyoshi Nakano


1.はじめに
 昨2005年7月18日から22日にかけて、バルカン半島の付け根に位置するクロアチア共和国の首都ザグレブで、国際宗教社会学会第28回大会(XXVIIIth Conference of the International Society for the Sociology of Religion)が開催された(以下、ISSRと略記)。会場は、ザグレブ大学機械工学・造船学部の数棟を使って行われたが、学部長室が船長室を模した楕円形であったり、構内に航空機のエンジンが置かれていたりと、クロアチアが古くから中東欧における造船や工学の中心地であることを思いおこさせるキャンパスであった。
 全参加者数は282名と必ずしも多くはなかったが、中東欧の若い研究者が多数、しかも初めて参加し、全体として活性化した印象であった。なお遠方にもかかわらず日本人参加者は以下の9名にのぼった。立田ゆきえ(ハーバード大学大学院)、嶋田義仁(名古屋大学)、奥山倫明(南山大学)、佐々充昭(立命館大学)、藤野陽平(慶応大学大学院)、弓山達也(大正大学)、樫尾直樹(慶応大学)、田島忠篤(天使大学)、中野毅(創価大学)。
 今大会の総合テーマはReligion and Society: Challenging Boundaries である。グローバル化が進展する現代世界において宗教的領域と非宗教的領域との境界が再構築される過程にあるとの基本的認識から、このテーマが掲げられたと考えられる。しかし実際の議論は、決して抽象的なものではなく、中東欧諸国からの研究者によって、旧社会主義圏の境界が崩壊し再構築されていく過程で遭遇している、深刻で重要なテーマが多数論じられていた。
 実は、これらバルカン諸国をめぐる宗教と政治、ナショナリズムの展開については、本「宗教と社会」学会の第二回大会(1994年)以来、個人的にも大変興味をもっていた。その大会で、シンポジウム「宗教と民族・ナショナリズム」を企画し、その成果を『宗教とナショナリズム』(世界思想社、1997年)として刊行したが、その中で国立民族学博物館の新免光比呂氏にボスニア・ヘルツェゴビナを事例に報告していただき、大いに刺激を受けたからである。今回、その地に一歩踏み入れ、多くの発表や議論を聞き、この地域の歴史、政治的環境、民族と宗教について、多少なりとも実感をもって学ぶことができた。また今大会では、2004年秋に亡くなった終身名誉会長B.R.ウィルソン博士の追悼セッションももたれた。何らかの追悼と感謝の意を表したいと思い、参加した。本稿は、きちんと整った国際学会参加報告というより、筆者の関心に即した旅日記的な内容になることをお許しいただきたい。


続きを読む
posted by グロ研 at 21:36| Comment(1) | TrackBack(0) | ISSR/SISRザグレブ大会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。